Notesの使い方:ObsidianやBearの代わりになるiPhoneとMacのメモアプリ活用術
iOS 18とmacOS Sequoiaに搭載されたAppleのメモアプリを最大限に活用するための実践ガイドです。メモ同士のリンク、階層化されたタグ、スマートフォルダを使いこなす方法を解説します。また、ObsidianやBearと比べて何ができて何ができないのかを率直に比較します。

長年BearやObsidianのvaultに料金を払ってきた方でも、Appleのメモアプリをきちんと見直したことはあまりないのではないでしょうか。それは惜しいことです。iOS 18.2とmacOS Sequoia 15.1では、メモ同士のリンク、階層化されたタグ、スマートフォルダ、パスワードによるロック、文字起こし付きの録音、リアルタイムの共同編集など、多くの人が思っている以上の機能が無料で標準搭載されています。
グラフ型の知識管理を重視するObsidianユーザーや、MarkdownにこだわるBearのファンを置き換えることはできません。しかし、メモを取り、リンクでつなぎ、MacやiPhone、iPadですぐに見つけたいという80%の方にとっては、もう何かを追加でインストールする必要はないというのが正直な答えです。このガイドでは手順を追って説明します。
2026年のAppleのメモで何ができて何ができないのか
設定に入る前に、前提をはっきりさせておきましょう。以下が実際の比較です。
| 機能 | メモ(iOS 18 / Sequoia) | Obsidian | Bear 2 |
|---|---|---|---|
| メモ同士のリンク | 可能(ネイティブ) | 可能([[ウィキリンク]]) | 可能([[ウィキリンク]]) |
| 階層化されたタグ | 可能(#仕事/顧客) | 可能(プラグイン) | 可能 |
| スマートフォルダ | 可能 | ネイティブではない | 不可 |
| 本物のMarkdown | 不可(リッチテキスト) | 可能 | 可能 |
| グラフ表示 | 不可 | 可能 | 不可 |
| マルチプラットフォーム | Appleとウェブのみ | Mac/Win/Linux/iOS/Android | Appleのみ |
| エンドツーエンド暗号化 | 可能(ロックしたメモ) | ローカル | 可能(Pro) |
| 料金 | 0円 | 個人利用は0円 | 年額32.99ユーロ |
率直に認めるべき重要な制約が2つあります。本物のMarkdownには対応していない(見出し用に#を入力することはできますが、それ以外はほとんど使えず、きれいな.mdファイルとして書き出すこともできません)。また、グラフ表示がないことです。どちらかがワークフローの前提になっている場合は、このページを閉じてObsidianに戻ることをおすすめします。
事前の準備
- iPhoneまたはiPadでiOS/iPadOS 18.2以降。
- MacでmacOS Sequoia 15.1以降。
- すべての端末で同じApple IDにサインインしていること。
- メモ用にiCloudを有効にしていること:設定 → [自分の名前] → iCloud → すべてを表示 → メモ。
iCloudで同期されていなければ、以下の内容は意味を持ちません。メモは各端末に分断されたままになります。
最初のフォルダ構成:混乱させないために
Obsidianから移行してきた人が最初にやりがちなミスは、vaultのフォルダ構造を一つずつ再現してしまうことです。それはやめましょう。メモでは、まずフラットに始めて、タグに重い仕事を任せるのがおすすめです。
ほどよい構成の例:
- 受信トレイ — すぐに取り込んだものすべて。
- プロジェクト — 進行中のプロジェクトごとのサブフォルダ。
- 参考資料 — 編集せず参照するだけのメモ。
- アーカイブ — 完了したもの。邪魔にならないように。
Macでフォルダを作るには、サイドバーでiCloudを右クリック → 新規フォルダ。iPhoneでは、フォルダ表示から左下のアイコンをタップします。
メモ同士のリンク:ほとんどの人が使っていないコツ
これは日常使いでBearと肩を並べる機能です。Obsidianのウィキリンクと同じように、あるメモから別のメモへリンクできます。仕組みは少し違います。
リンクの作り方
- メモの中で
>>(不等号を2つ)と入力します。 - メモの一覧が入ったフローティング検索が表示されます。
- タイトルの最初の数文字を入力し、メモを選んでReturnキーを押します。
- リンク先のメモのタイトルがクリック可能なリンクになります。
MacでもiPhoneでも同じように動作します。リンク先のメモのタイトルを変更すると、リンクも自動で更新されます。これはObsidianがバックリンクでやっていることそのものですが、ここには誰が誰にリンクしているかを示すパネルはありません。その代わりのコツとして、検索ボックスでメモのタイトルを検索すると、それに言及しているメモがすべて表示されます。
Bearのような階層化されたタグ
メモのタグは#で始まり、/で階層を表せます。例:
#仕事#仕事/顧客#仕事/顧客/acme
サイドバーにはタグという項目があり、すべてが自動的にまとめられます。#仕事をタップすると、サブタグも表示されます。Bearとまったく同じ動作で、年間33ユーロを払わずに済むのが利点です。
実践的なアドバイス:ルートのタグは5〜7個に抑えましょう。#個人、#仕事、#アイデア、#学習、#買い物。それ以外は階層として下に組み込みます。タグが80個もバラバラにあると、管理できなくなります。
スマートフォルダ:メモがObsidianより優れている点
この機能はBearにもObsidianにも標準では備わっておらず、ワークフロー全体を見直したくなるほどのものです。スマートフォルダとは保存されたフィルタのことで、特定の条件を満たすメモを自動的に表示します。
作り方:
- Mac:ファイル → 新規スマートフォルダ。iPhone:新規フォルダのアイコン → スマートフォルダに変換。
- 名前を付けます(例:「今週の未処理」)。
- タグ、作成日、編集日、メンション、チェックリスト、添付ファイル、フォルダなど、組み合わせ可能なフィルタを追加します。
- 保存します。
私が毎日使っている例:
- 今月の会議:タグ
#会議+ 過去30日以内に編集されたもの。 - 未整理のメモ:フォルダ「受信トレイ」 + タグなし。
- 2026年の請求書:タグ
#請求書+ 2026年に作成されたもの。
ほとんど手間をかけずにGTDを実現できます。Obsidianで同じことをするには、Dataviewのようなプラグインが必要になります。
検索:思った以上に強力
Sequoiaのメモ検索は、スキャンした画像内の文字(OCR)、Apple Pencilで書いた手書き文字、添付PDFの内容、さらには写真内のもの(「レシート」「ホワイトボード」など)まで認識します。試してみてください。「運転免許証」と検索すると、メモのタイトルが「2024年いろいろ」であっても、それが写っている写真が表示されます。
タグやスマートフォルダと組み合わせれば、95%のケースで、どこに保存したか思い出す前にメモを見つけられます。長いメモの中で特定の単語を探すには、Macなら、メモを開いた状態で ⌘ + F を使います。
ロックとプライバシー
個々のメモは、端末のパスコード、Touch ID、Face IDでロックできます。Mac:メモを右クリック → メモをロック。iPhone:メモを左にスワイプして鍵アイコンをタップします。
ロックしたメモはAppleでさえ読めないようエンドツーエンドで暗号化されています。パスワードを忘れると復元はできません。パスワードは必ずパスワード管理アプリに保存してください。まだKeychainを使っている場合は、iOS 18とmacOS Sequoiaの「パスワード」アプリでパスワードを管理する方法も確認してください。
素早いメモ取り:iPhoneの真価
ワークフローを変える3つのショートカット:
- iPadでApple Pencilを画面の角からスワイプ → 空白の新規メモが開きます。
- 「Siri、新しいメモ」 → 話した内容がデフォルトのフォルダに保存されます。
- 任意のアプリから共有 → メモ → 既存のメモに追加するか、新規作成します。
Macでの同等の機能はクイックメモです。カーソルを画面の右下隅に移動するか、Fn + Qを押します(システム設定 → デスクトップとDock → ホットコーナーで変更可能)。
音声の文字起こしとボイスメモ
iOS 18の新機能:メモの中で音声を録音すると、メモが自動的に文字起こししてくれます。会議やインタビューに便利です。クリップのアイコンをタップ → オーディオを録音。終了すると、プレーヤーの下に文字起こしが表示され、通常のテキストと同じように検索できます。
音声がクリアであれば、日本語の認識も比較的うまく機能します。騒がしい場所では精度が落ちます。Otter.aiほどではありませんが、社内メモには十分です。
率直な比較:いつObsidianやBearに移るべきか?
次の場合はObsidianに移りましょう:
- メモをGitでバージョン管理できるローカルの
.mdファイルとして保存したい場合。 - プラグイン(Dataview、Templater、Kanban)を多用する場合。
- メモのグラフを視覚的に見たい場合。
- WindowsやLinuxでも作業する場合。
次の場合はBearに移りましょう:
- 純粋なMarkdownで書き、細かいスタイルでHTML/PDFに書き出したい場合。
- タイポグラフィとミニマルなデザインを何より重視する場合。
- 洗練されたアプリに年間33ユーロ払うことに抵抗がない場合。
次の場合はメモに留まりましょう:
- Appleのみを使っている場合。
- 摩擦ゼロ、サブスクリプションゼロ、メンテナンスゼロを求める場合。
- 画像、表、リスト、PDFを含むリッチテキストで十分な場合。
- iPhoneを使っている家族やチームとメモを共有する場合。
よくある問題
端末間でメモが同期されない。 すべての端末でiCloud → メモが有効になっているか確認してください。メモが「iPhone内」(ローカルアカウント)にある場合は端末の外に出ません。サイドバーからiCloudに移動してください。
>>のリンクが表示されない。 iOS 17以降が必要です。古い端末では動作しません。
タグがまとまらない。 メモがiCloudアカウントにあることを確認してください。IMAPアカウント(メモに追加したGmailやExchange)は、タグやスマートフォルダに対応していません。
画像内の文字が検索に出てこない。 設定 → 一般 → 言語と地域を開き、主要言語がライブテキストに対応しているか確認してください。Macでは、システム設定 → 一般で同様に確認します。
複数のメモを一度に書き出せない。 これは実際の制限です。Macではメモを一つずつPDFとして書き出せます(ファイル → PDFとして書き出す)。一括で移行するには、サードパーティのエクスポーターを使うか、手動でコピー&ペーストしてください。
Appleエコシステム内の代替手段
メモでは物足りないけれどBearにお金を払いたくない場合は、Craft(Notionのようなブロック型、月5ユーロ)、NotePlan(メモ+カレンダー+本物のMarkdown、月8ユーロ)、またはDrafts
(自動化付きの超高速キャプチャ、フリーミアムモデル)を検討してください。無料でかつネイティブなものはありません。そこがメモの強みです。
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で紹介したようなランチャーとメモを組み合わせてください。マウスに触れずに、2回のキー操作で特定のメモを開けます。
よくある質問
Obsidianのvaultをリンクを失わずにメモに移行できますか? 自動では無理です。.mdファイルはリッチテキストとして取り込まれますが、[[ウィキリンク]]はプレーンテキストとして残ります。>>
でリンクを一つずつ作り直す必要があります。大きなvault(500件以上のメモ)では割に合いません。
メモはオフラインで使えますか?
はい。オフラインで作成・編集でき、iCloudに再接続したときに同期されます。変更が失われることはありません。
メモのウェブ版はありますか?
はい、iCloud.comで利用できます。借りたWindows PCから確認するのに便利ですが、スマートフォルダや一部の書式設定機能はありません。
ネイティブではなくてもMarkdownを使えますか? 部分的には可能です。行頭に#とスペースを入力すると見出しになります。–とスペースでリストになります。*テキスト*と入力しても自動で斜体にはなりません。本物のMarkdownが必要な場合、メモは適したアプリではありません。
iCloudでどのくらいの容量を使いますか? テキストのメモはキロバイト単位の軽さです。容量を圧迫するのは添付ファイル、つまりPDF、写真、音声です。設定 → [自分の名前] → iCloud → ストレージを管理 → メモ で確認できます。



